「世界一FF8を愛した男」20年以上前の作品で過酷な〝縛りプレイ〟をする理由

松田 和城 松田 和城

 スクウェア・エニックスの人気ゲーム『FAINAL FANTASY VIII(FF8)』が発売されて22年が経過した。全世界で960万本以上販売された同作だが、現在もなお次々と新しい遊び方が模索され、注目を集めている。動画投稿者shelfall氏は、FF8を「やりこめばやりこむほど無限の可能性に気付く超スルメゲー」と表現した。

 増加する動画内の「take○○」の回数。過酷な縛り条件の下、運要素が絡み敵を倒すまでに何度も挑戦し続ける場面が、高頻度で流されていた。視聴者も「すごすぎる」「世界で一番FF8を愛した男」「これどうやってクリアするんだ…」「狂気」などと、多くの称賛と困惑のコメントを残している。

 ニコニコ動画の最高再生回数が36万回を超えるシリーズ「石橋を叩いてFF8(PC版)を初見プレイ」では、キャラクター強化のための作業時間が膨大だった。「プレイしつつAmazonプライムでアニメを見たりしていました。『北斗の拳』をはじめ、長編シリーズを何本も完走しましたね」と振り返った。

 Shelfall氏は2014年に投稿した動画の反響が大きかったのをきっかけに、縛りプレイシリーズメインで活動を続けてきた。動画投稿を始めるずっと前から、縛りプレイが好きだったという。「初めて縛りプレイをしたのは、小学生の頃にやった『FF7』の低レベルクリアだったと思います。その後インターネットが普及したことで、様々な縛りプレイヤーの存在を知りました。2000年代初頭でニコニコ動画やYoutubeなどの動画サイトが無い時代でしたので、Webサイトでレポートを読みました。自分がやったFF7の低レベルクリアに更に縛り条件を加えてクリアしている方や、FF8をジャンクション(装備システム)無しでクリアしている方など、先人たちの偉業に衝撃を受けたのを覚えています」と語った。

 「FF8はFFの中でも一番好きな作品なので、必然的に数が多くなっています」と明かした通り、同作品の動画が数多く見られる。エンディングまで一つの技が一回しか使えない「【FF8】1行動1回縛り」や戦闘中のコマンド入力回数最小でクリアを目指す「【FF8】最小コマンド入力回数クリアに挑戦」などがある。

 動画をきっかけに影響を受けた視聴者も多く、やりがいを感じている。「動画やプレイに対する感想ももちろん嬉しいのですが、一番嬉しいのは『私の動画をきっかけにFF8をプレイした』という声ですね。初めてプレイされた方もいますし、幼い頃にプレイして途中で挫折した経験があり、私の動画を見てFF8の面白さを感じて、再プレイしてくれた方もいました。FF8は従来のFF(というかRPG全般)と比べてシステムが特殊なため慣れないうちにドロップしてしまう方も少なくないようですが、非常に自由度が高く、やりこめばやりこむほど無限の可能性に気付く超スルメゲーなので、少しでもその魅力に気付く方が増えてくれると大変喜ばしいです」と言葉に力を込めた。

 縛りプレイ動画では“失踪”、つまり途中で企画を諦め投げ出す投稿者も見受けられる。しかし、shelfall氏は過去にそうなったシリーズ動画を見て残念に感じた経験上、同じような思いをさせないことを最重要視している。「特に縛りプレイであれば、事前の調査をしっかり行い、詰んでしまうことがないようにします。また、プレイするゲームの魅力を伝えることも念頭に置いています」と答えた。

6月23日から最新シリーズ「△ボタン禁止でFF8」がスタートした。現在、多くのゲーム実況者が話題作を配信している。最新のゲームを取り扱い、視聴者を増やそうとする動きは自然だが、「ゲーム実況者として人気になるためならば、新しいゲームにどんどん手を出していくというのが投稿数も再生数も稼げて手っ取り早いでしょうけど、私はやりません、というかできません。趣味は義務感を感じたら趣味でなくなってしまう、というのが私のモットーなので、私の好きなゲームを、好きなスタイルでプレイした動画しか投稿しないと思います」と熱弁した。

 

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