世界で愛された「ベルセルク」作者 海外でも三浦建太郎さん”追悼式”

澤田 英延 澤田 英延
 「ベルセルク」1巻書影=(C)三浦建太郎
 「ベルセルク」1巻書影=(C)三浦建太郎

 「ベルセルク」などで知られる漫画家・三浦建太郎さんが5月6日、急性大動脈解離で亡くなった。54歳だった。

 1989年に「月刊アニマルハウス」での不定期連載からスタートした「ベルセルク」は累計発行部数は全世界で5000万部を超える人気作。中世ヨーロッパを下地に、剣士、魔法使い、妖精、魔物などが登場するダークファンタジーの王道の世界観の中で物語が展開し、海外にもファンは多かった。

 三浦さんの訃報が流れたのは5月20日。ニュースは海外にも広がり、「ファイナルファンタジーXIV(14)」の北米のサーバー内でプレイヤーたちが、キャラクター・暗黒騎士の姿で追悼するという事象も起きた。黒い甲冑(かっちゅう)を身にまとい、身の丈ほどもある大剣をふるう暗黒騎士。ゲームのディレクターが「ベルセルク」の主人公・ガッツのようなイメージもあると語っていたことから、ゲームのプレーヤーで作品のファンである人々が自然発生的に“追悼式”が開催された。ゲーム内の広場に暗黒騎士がズラリと並ぶ様子は壮観だった。

 三浦さんによる壮大なスケールの物語と緻密な作画は、世界共通で愛されたのだと実感した。連載開始当初から「ベルセルク」の愛読者だった記者も、訃報には大きな衝撃を受けた1人。惜しむ声の大きさには納得だったが、こんな形で“長期連載リスク”を実感するとは思ってもいなかった。

 壮大な物語だけに、結末を楽しみにしていたが、まさかの未完。同じように長期連載でまだ完結していない「ガラスの仮面」や休載が続く「HUNTER×HUNTER」などがネットのトレンドワードに上がっていたのもうなずける。

 結末を知ることのできない気持ちはどうにもならないが、せめて、9月に開催予定の三浦さんの原画などを集めた「大ベルセルク展」で冥福を祈りたい。いや、祈ると両手がふさがるか…。

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