声優・原えりこが語った「やっぱり演じたい」 話題の「スーパーカブ」で心を新たに再出発

山本 鋼平 山本 鋼平
原えりこ
原えりこ

 注目を集めているアニメ「スーパーカブ」に、かつての人気声優が出演している。原えりこは「ときめきトゥナイト」(1982-83)の主人公・江藤蘭世、「機動戦士ガンダムΖΖ」(1986-87)のエル・ビアンノ、「きまぐれオレンジ☆ロード」(1987-88)の檜山ひかる、「スラムダンク」(1993-96)の彩子などを演じてきた。今年5月、声優業に腰を据えたものとしては約20年ぶりに事務所と業務提携を結び、今作では担任教師役を担う。「メインキャストではないですが、私にとっては、とても大切な役です」と語った。

 昨年の春、大好きな原作のアニメ化決定報道を受け、抑えきれない衝動に駆られた。「どうしても出演したい」。制作会社に電話をかけ、プロデューサーの連絡先を聞き、スーパーカブとの写真とボイスサンプル、熱意をしたためたメールを送った。82年に「逆転イッパツマン」の放夢ラン役でデビューして以来、初めての売り込みだった。「自分からお仕事をください、と言うのが恥ずかしいことだと思っていました。でも、待っていてもチャンスは来ない。若い人がSNSやYouTubeで必死にアピールしているのに。今は、消極的だった自分をとても反省しています」。ほぼ全ての配役が決定済みだったが、その熱意が認められた。

 スーパーカブは2018年に乗り始め、夢中になった。Facebookなどを通じて全国に仲間ができた。リトルカブ(88cc)を皮切りに、現在は3台目となるスーパーカブJA44(110cc)を操る。主人公・小熊役の夜道雪さん、礼子役の七瀬彩夏さんとはツーリングを行った。「二人ともしっかりしていて、とてもいい子です」と若い後輩から刺激を受けている。

 20年前。原は声優への情熱を失いかけていた。一人娘の子育てに励み、演劇講師の仕事に恵まれた。一方で声優の仕事は減り始め「もう駄目かな」と事務所を辞めた。フリーとして「それいけ!アンパンマン」ではピョン吉などの役を続け、戸田恵子さんたちと共演してきたが「数多くの作品で活躍をされている他の役者と比べると、自分で声優と名乗るのが嫌な時期もありました」と気が沈んだ。

 だが一昨年から今年にかけ、「スーパーカブ」以外にも転機が続いた。2019年末、京都で「ヴイナス戦記」のイベントに登壇。「もう誰も私に興味がないと思っていたら、たくさんのファンの方々に喜んでもらえてビックリして、うれしかったです」と、前向きな気持ちが芽生えた。

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